青梅市で親が亡くなり、何から始めればよいかわからなかった相談事例
今回は、青梅市にお住まいの方から、「親が亡くなった後、相続について何から始めればよいのかわからない」とご相談いただいた事例をご紹介します。
親御様が亡くなった直後は、葬儀や親族への連絡、市役所での届出などが重なります。その後、少し落ち着いた頃に、預貯金、不動産、保険、年金、公共料金などの手続きが必要だとわかり、困ってしまう方は少なくありません。
今回のご相談者様も、インターネットで相続について調べていましたが、情報が多く、「自分の場合は、どの手続きから始めるべきなのか」を判断できない状態でした。
なお、本事例は個人が特定されないよう、相談内容の一部を変更しています。
ご相談者様の状況
ご相談者様は青梅市にお住まいの50代の方です。青梅市内で一人暮らしをしていたお父様が亡くなり、葬儀を終えた後にご相談いただきました。
お父様の配偶者はすでに亡くなっており、ご相談者様には兄弟がいました。兄弟間の関係は良好でしたが、誰も相続手続きを経験したことがなく、それぞれが断片的に情報を調べている状況でした。
ご相談者様が特に困っていたのは、次のような点です。
- 市役所で行う手続きと相続手続きの違いがわからない
- 期限のある手続きがあるのか不安
- 遺言書をどこまで探せばよいかわからない
- 父親の財産や借金を把握できていない
- 銀行口座から葬儀費用を引き出してよいのかわからない
- 兄弟で何を決めればよいのかわからない
最初に「急ぐ手続き」と「後から行う手続き」を分けました
ご相談時には、最初にすべての手続きを一度に進めようとせず、期限や緊急性によって整理することをご案内しました。
相続に関する手続きには、比較的早く確認すべきものと、必要書類を集めた後に進めるものがあります。
今回のケースでは、まず次の事項を優先して確認しました。
- 遺言書が残されていないか
- 相続人になる可能性がある人は誰か
- 借入金や保証債務がないか
- 相続放棄を検討する可能性があるか
- 準確定申告や相続税申告が必要になる可能性があるか
- 自宅などの不動産があるか
預貯金の解約や遺産分割協議書の作成は重要ですが、その前に財産と負債の状況を確認する必要があります。
遺言書が残されていないか確認
相続手続きを始める際には、遺言書の有無を確認することが重要です。遺言書がある場合とない場合では、その後の財産の分け方や手続きが変わる可能性があります。
今回のケースでは、ご自宅の机、金庫、書類棚、通帳などを保管していた場所を確認しました。また、公正証書遺言や法務局で保管された自筆証書遺言がないかについても確認方法をご案内しました。
自宅などで封印された遺言書が見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。
一方、公正証書遺言や、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は、原則として家庭裁判所の検認は必要ありません。
父親の財産だけでなく負債も調べました
ご相談者様は、お父様には自宅と預貯金があることは把握していましたが、借入金や未払い金については確認できていませんでした。
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金などのマイナスの財産も対象になります。
そのため、次のような資料を確認して、財産と負債の手掛かりを探しました。
- 預貯金通帳やキャッシュカード
- 金融機関や証券会社からの郵便物
- 固定資産税納税通知書
- 生命保険会社からの書類
- クレジットカードの利用明細
- 消費者金融や銀行からの請求書
- 税金、医療費、施設利用料などの未払い通知
- 連帯保証に関する契約書や通知
相続放棄を検討する可能性がある場合は、相続財産を不用意に使用したり処分したりしないよう注意が必要です。
相続放棄の期限についても確認しました
今回のケースでは、明らかな多額の借金は確認されませんでした。ただし、ご相談時点では財産と負債の全容がわかっていなかったため、相続放棄の期限についても説明しました。
相続放棄は、原則として、亡くなったことと自分が相続人であることを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
単に死亡日から一律に3か月と考えるのではなく、自分のために相続が開始したことを知った時点が問題になります。
また、亡くなった方の預貯金を自分のために使ったり、相続財産を売却したりすると、相続を承認したと判断され、相続放棄が難しくなる可能性があります。
何が相続財産の処分に該当するかは個別の事情によるため、相続放棄を検討している場合は、財産に手を付ける前に専門家へ相談することが大切です。
相続人を確認するため戸籍を集めることにしました
財産と負債の確認と並行して、誰が正式な相続人になるのかを確認するため、戸籍を収集することにしました。
ご相談者様は「相続人は自分と兄弟だけ」と考えていましたが、相続手続きでは戸籍により相続関係を確認する必要があります。
一般的には、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍などを確認します。
2024年3月からは、一定の条件を満たす場合、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍証明書等を取得できる広域交付制度が始まっています。
本人、配偶者、直系尊属、直系卑属などが窓口で請求する場合には、青梅市役所などの最寄りの市区町村窓口で、他の自治体にある戸籍をまとめて取得できる場合があります。
ただし、郵送請求や代理人による請求は広域交付の対象外です。また、一部の古い戸籍などは取得できない場合があります。
兄弟の役割分担を決めました
今回のご家族は兄弟間で争いはありませんでしたが、誰がどの手続きを担当するのか決まっていませんでした。
複数人が別々に金融機関や市役所へ問い合わせると、情報が分散し、同じ書類を何度も取得してしまうことがあります。
そこで、次のように役割を分けることにしました。
- ご相談者様が戸籍や市役所関係の書類を確認する
- 兄弟の一人が預貯金や保険関係の資料を確認する
- 不動産関係の資料を一か所にまとめる
- 取得した書類や問い合わせ内容を共有する
- 財産の分け方を決めるまでは、勝手に名義変更や解約をしない
手続きの担当者を決めたことで、家族間の連絡が整理され、同じ確認を繰り返すことが少なくなりました。
今回のサポート内容
今回のご相談では、個別の手続きをすぐに始めるのではなく、相続発生後に確認すべき事項を整理し、優先順位を決めました。
主なサポート内容は次のとおりです。
- 死亡後に必要となる手続きの全体整理
- 期限のある相続手続きの確認
- 遺言書の有無を確認する方法の案内
- 財産と負債を調査するための資料整理
- 相続人確認に必要な戸籍の案内
- 兄弟間の役割分担の整理
- 今後必要となる専門家の確認
ご相談者様は、「全部をすぐに終わらせなければならないと思っていたが、順番がわかって安心した」と話されていました。
親が亡くなった後に確認したい基本的な順番
親御様が亡くなり、何から始めればよいかわからない場合は、一般的には次のような順番で状況を整理します。
- 市役所や年金など、死亡後の基本的な届出を確認する
- 遺言書が残されていないか確認する
- 相続人になる可能性がある人を確認する
- 預貯金、不動産、保険などの財産を調べる
- 借入金や未払い金などの負債を調べる
- 相続放棄を検討する必要があるか確認する
- 戸籍を集めて正式な相続人を確認する
- 財産の全体像を整理する
- 相続人全員で財産の分け方を話し合う
- 預貯金、不動産などの個別手続きを進める
実際の順番は、遺言書の有無、財産の種類、相続人の関係、借金の有無などによって変わります。
期限がある主な手続き
相続に関連する手続きの中には、期限が定められているものがあります。
- 相続放棄:原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内
- 準確定申告:原則として、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
- 相続税申告:原則として、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
- 相続登記:不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内
準確定申告や相続税申告の判断・手続きは税理士、相続登記の申請は司法書士の業務範囲です。
すべてのご家庭でこれらの手続きが必要になるわけではありませんが、該当する可能性がある場合は、期限を過ぎないよう早めに確認する必要があります。
相談内容によって適切な専門家が異なります
相続に関する相談は、内容によって対応する専門家が異なります。
- 戸籍収集、相続人調査、遺産分割協議書作成、預貯金手続きの支援:行政書士
- 相続登記、不動産の名義変更:司法書士
- 準確定申告、相続税申告、税額の判断:税理士
- 相続人同士の争い、遺産分割調停、交渉:弁護士
最初から相談先を正確に判断できない場合は、まず相談内容を整理できる窓口へ相談し、必要に応じて適切な専門家につないでもらう方法があります。
青梅市で親が亡くなり、何から始めればよいかわからない方へ
親御様が亡くなった直後は、気持ちの整理がつかないまま、多くの届出や相続手続きへの対応を求められます。
すべての手続きを一人で調べて、一度に進める必要はありません。まずは、期限があるもの、遺言書、相続人、財産と負債の状況から整理することが大切です。
青梅相続相談センターでは、青梅市および周辺地域の方を対象に、相続手続きに関するご相談を受け付けています。
「親が亡くなったが何から始めればよいかわからない」「手続きの期限が不安」「戸籍や財産をどう調べればよいかわからない」といった段階でもご相談いただけます。
初回相談時にあるとよい資料
初回相談では、次のような資料があると状況を整理しやすくなります。
- 亡くなった方の氏名、死亡日、本籍地がわかる資料
- 取得済みの戸籍謄本や住民票の除票
- 預貯金通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物
- 固定資産税納税通知書や不動産関係の書類
- 生命保険会社からの書類
- 借入金やクレジットカードに関する書類
- 遺言書と思われる書類
- 相続人の関係を簡単に書いたメモ
すべての資料がそろっていなくても相談は可能です。現在わかっている情報だけでも、今後確認すべき事項を整理できます。
まとめ
今回の事例では、青梅市でお父様が亡くなり、何から相続手続きを始めればよいかわからなかった方からご相談をいただきました。
最初に行ったのは、預貯金の解約や遺産の分け方を決めることではなく、期限のある手続き、遺言書、相続人、財産と負債の状況を整理することでした。
相続手続きは、状況を確認しないまま進めると、後から借金が判明したり、別の相続人が見つかったりして、手続きをやり直すことがあります。
親御様が亡くなり、何から始めればよいかわからない場合は、財産を動かす前に全体の状況を整理し、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。
青梅相続相談センターは、青梅市周辺で相続に困ったときに最初に相談できる民間の相談窓口です。公的機関ではありません。個別の状況に応じて、司法書士、税理士、弁護士などへの相談が必要となる場合があります。
